フロントエンド・バックエンドとは?【マーケティングのプロが解説】

フロントエンド・バックエンド戦略に関するマーケティング知識を深めたい方へ

フロントエンド、バックエンド戦略とは?

・マーケティング戦略に欠かせない理由は?

・戦略構築の際に気をつけることは何?

このような疑問にわかりやくす回答します。

✅記事の信頼性

この記事を書いている私は、現在アメリカでマーケティング戦略コンサルタントとして生計を立てています。これまでにも、美容、医療、教育、非営利団体、アパレルなどを始めとし、その他様々な業界のマーケティング戦略構築や、企業教育などの案件を担当してきました。
ですので、本記事の情報の正確さ、実践性、分かりやすさには信頼をおいていただけるかと思います!

前置きはほどほどにして、早速本題に入っていきましょう。

フロントエンド・バックエンド戦略とは?

提供する商品やサービスを、ビジネスと顧客の関係性段階別に、

  • フロント(入り口=初期段階にあった導入商品)
  • バック(後=リピート段階者向け商品)

の2つのステップに分けてオファーすることで、効率的に新規顧客の開拓を行い、ビジネスが得る最終的な利益を最大化するためのマーケティング戦略です。

別名2ステップマーケティングとも呼ばれています。

フロントエンド商品とバックエンド商品には、それぞれ違った役割と目的があります。

それぞれ説明していきます。

フロントエンドの目的と役割

フロントとは、英語で『入り口』という意味を持ちます。

つまり、フロントエンドとは、ビジネスとの信頼関係が構築される前の段階にいる見込み客が、実際の顧客となるための『入り口』となる役割をするオファーのことです。

✔️フロントエンドの役割

目的:新規顧客の開拓
役割:見込み客が手を出しやすい導入商品・サービスを提供し、顧客化に繋げる

フロントエンド商品の分かりやすい具体例としては、脱毛サロンの「わき脱毛100円」や、マクドナルドの「100円マック」などの、「ちょっと試してみようかな」と気軽に思えるような、顧客にとってリスクの低いオファーがあげられます。

またその他にも、「初回特別割引」や「無料体験」と言うような、初回顧客向けに、無料、または安価で提供されている商品もフロントエンドに含められます。

バックエンドの目的と役割

バックエンドとは、既に入り口をくぐり抜けたリピート段階の顧客層に提供される、ハイエンドな商品・サービスのことです。利益化のためにビジネスが売りたい、メインの商品ですね。

✔️バックエンドの役割

目的:利益の最大化
役割:既存顧客へ次のステップとなるオファーを提供することで、更なる価値の付随を行うと共に、ビジネス側の利益率をあげる

過去に自社サービスを体験し、その後リピートとして戻ってきた既存顧客との間には、既にある程度の信頼関係ができています。

そこで、導入商品よりも、さらにハイエンドなオファーを提供し、利益を最大化していくと言う考え方です。

先程の美容サロンの例を使うと、初回から10万円の全身脱毛コースを契約してもらうより、一度100円でワキ脱毛の体験に誘導し、そこで実際にサロンスタッフのスキルや、サービスの質を実体験してもらった方が、顧客の信頼は向上します。また、実店舗へ来店することで、スタッフと顧客の間の繋がりを深めることが可能になります。

初回から高額商品購入の決断をお願いするより、このようなプロセスを経て更なる提案を行う方が、提供する側、購入する側の両者にとって、購入の敷居が低くなりますね。

このように、フロントエンド商品で、顧客を店の入り口に呼び込み、そこで一度関係性を構築した上で、バックエンド商品の提供で、さらに利益を上げていきます。

成功事例

フロントエンド戦略を用いて、上手くバックエンドで利益化しているビジネスの事例をいくつか挙げてみます。

✔️XboxGamePass Ultimate(マイクロソフト社)

サービス概要:月額1100円でXboxのゲームでメジャーなタイトルが遊び放題
フロントエンド:初月100円の入会体験
バックエンド:月間1100円のサブスク、または年間契約で「年額5,200円」(最大3年間契約可能)

サブスク系は、一度始めると、楽しかったり便利だったりして、ハマってしまうプログラムが多いです。安価で初月の契約に結びつけ、顧客の情報をゲットすることができると、あとは毎月自動でサブスクの延長がなされます。

✔️マクドナルド

フロントエンド:100円マック
バックエンド:その他セット商品

100円でハンバーガーが食べれると考え店舗を訪れたけど、最終的にポテトやジュースも頼んでしまった経験はないでしょうか?

セット商品を買うと、さらにお得にアドオンができるので、最終的に100円以上のお会計して帰る人も多くなります。

✔️ミュゼ

フロントエンド:脱毛100円
バックエンド:セットコース

脱毛は、一度では終わりません。個人差はあれど、完璧に脱毛したけれは、5〜10回以上の継続的な通院が必要になります。

バックエンド・フロントエンド戦略がマーケティングに必要不可欠な理由

フロントエンドとバックエンドがしっかりしていると、効率的で無駄なく新規顧客の開拓と、利益の最大化を達成することが可能になります。

新規顧客の開拓や利益向上のための施策は多く存在しますが、フロントエンド・バックエンド戦略を整え掛け合わせた上で、その他の手法を使うと、さらに大きな結果を手に入れることができます。

アップセル・クロスセルできるチャンスが手に入る

また、フロントエンド戦略のメリットは、2回目以降の来店時に高額商品を勧めやすくなるだけではありません。

一度ビジネスに足を運んでもらえると、初回訪問時、その場ですぐに「アップセル」や「クロスセル」に繋げることもしやすくなります。

用語解説

アップセル→元々購入を検討していた物より、格上の商品を売ること
クロスセル→購入商品と関連する商品を同時に売ること

例えば、先程のマクドナルドの例だと、100円マックで顧客を店舗に呼び込みますが、購入の際に、ハンバーガーと一緒にドリンクを進めるなど、フロントエンドオファーに関連する商品を勧めることができます。(クロスセル)

また、100円マックを買うつもりできたお客様を説得し、ちょっと高めの月見バーガーの購入にアップグレードすることもできますね。(アップセル)

ここでおまけとして、過去に私が顧客として実際に陥ってしまった、フロントエンドから、バックエンド、アップセル、クロスセルの全てが見事に戦略化されている実例を紹介します。

✔️Toyotaディーラーの戦略

①Toyoyaディーラー主催の無料試乗会を訪問(フロントエンド)
②今なら150万円でカローラの最新モデルが出たばかりですよと紹介される(バックエンド)
③150万なら…と検討し始めると、試乗しましょう〜と誘われ試乗
④そこからさらに上手く説得され、なぜか400万円のカムリにも無料試乗してしまう。
⑤乗り心地と機能性の良さに魅了され、そのままカムリの購入を決断(アップセル)
⑥さらに、レザーシートやカーナビゲーションなどの、新車関連アドオン商品を紹介され、レザーシートを購入する(クロスセル)

150万のバジェットで訪れましたが、最終的に400万円でカムリのスポーツモデルの新車を購入して帰った25歳のお正月です。笑

フロントとバック、どっちが重要?

フロントエンド・バックエンド戦略構築の際、企業担当者の方からよく頂く質問です。

結論から言うとどちらも大切です。

フロントエンドが上手くできていないと、集客ができないので、その先のバックエンドにつながりません。

しかし、集客にかかる出費と、フロントエンドで得ることができる収益はとんとんである場合がほとんどです。そのため、どれほど集客に成功しても、バックエンドが整っていないと、利益化に繋げることがは難しいです。

ですので、どちらも手を抜かずに戦略化し実践していくことが大切です。

フロントエンド戦略構築の際に注意するポイント

フロントエンドオファーの開発時に、特に意識すべきことは以下3つです。

  1. 顧客のリスクを最大限に削減
  2. 知覚的価値の付随
  3. 実体験満足度の確実化

それぞれ深堀していきます。

顧客のリスクを最大限に削減

繰り返しになりますが、フロントエンド戦略の最大の目的は、新規顧客の開拓です。

そのためには、顧客にとってビジネスとの関係性をリスクなく始めやすい環境を準備し提供することが重要です。

見込み客が、自社とビジネスを開始することを引き止めている最大の理由は何かを顧客視点から考え、障壁となっている原因をできる限り取り除きましょう。

質に確信のないサービスへ高価な価格を支払うことが理由の場合は、無料体験の提供や、初回限定で特別価格をオファーすることができます。

または、安全性に関する懸念が理由の場合は、無料で安全保障を提供することで、顧客が感じるリスクを取り除くことができますね。

知覚的価値を意識する

フロントエンドで提供する商品・サービスは、顧客が拒否できないほど魅力的な内容である必要があります。

ノーと言えないほど最高の初回オファーを提案することで、ビジネスとの関係のスタートラインを切ってもらうことが目的だからです。

魅力的なオファーを提供する際に重要なのは、顧客が知覚できる方法で価値を提供するということです。

例えば、エステサロンの場合だと、単に「初回体験500円」と打ち出すだけではなく、「通常5000円の施術が、初回のお客様限定で500円で提供」と伝えた方が、認識できる価値が増します。

またさらに、プラスアルファで、オファー内容に顧客が価値を感じやすい「おまけ」をつけるのも効果的です。

①「初回体験500円」
②「通常5000円の施術が、初回のお客様限定で500円で提供」
③「通常5000円の施術を、初回のお客様限定で500円で提供、さらに、ご来店頂いた方全員に、数量限定で無料ギフトをプレゼント」

といった感じです。

「ギフト」と言う言葉を使い、お客様が実際に知覚できる価値を付随することで、さらに行きたい度が増しますね。

おまけギフトの提供は、ビジネス側からすると、高くて一人当たり数百円のコストです。

しかし、そこから獲得できる新規顧客が、一生涯を通してビジネスにもたらしてくれる利益(顧客生涯価値)を考えると、とても安い投資です。

知覚価値の提供にかかる費用は、マーケティング費用の一部だと考ましょう。

フロントエンドのオファーに知覚価値の高い何かを追加すると、戦略の効果がグンと向上します。

実際の体験の満足度を確実にする

どんなにオファー内容が魅力的でも、実際の経験が満足を感じれるものでないと、リピートには繋がりません。

当たり前ですが、リピートしたいと思えるほどビジネスに好感を持ってもらえないと、バックエンドへの誘導は到底無理ですよね。

フロントエンドには、魅力的でかつ、満足度を保証できる商品やサービスを選びましょう。

バックエンド戦略構築の際に注意するポイント

バックエンド戦略の注意点は以下3つです。

  1. LTV(顧客生涯価値)の向上に努める
  2. バックエンド誘導のための円滑なコミュニケーション
  3. 継続性のあるバックエンド商品の提供
  4. 必要に応じたミドルエンドの設置

LTV(顧客生涯価値)の向上に努める

バックエンド戦略最大のポイントは、長期的なLTVを向上させることです。

LTVとは、顧客が障害を通してビジネスに落としてくれる利益的価値のことを指します。

詳しくは、以下の記事で説明しているので参考にしてください。

▶︎参考記事:LTV(ライフタイムバリュー)とは?長期的繁栄のためのマーケティング徹底解説

目指すべきゴールは、一度きりのバックエンド商品の購入ではなく、長期的に継続してビジネスへ戻ってきてもらえる方法でのバックエンド商品の提案です。

そのためには、一方的な押し売りをするのではなく、顧客にとっての価値を1番に考えた、相手に寄り添うのオファーの提案を行っていくことが重要です。

継続性のあるバックエンド商品の提供

LTVを向上するには、継続的なリピートにつながるバックエンド商品を開発することが重要です。

また、自動的に顧客のニーズを満たすことができるバックエンドのシステムを構成できると効率性と利益性がさらに高まります。

継続性があり、かつ自動化されているバックエンドの例としては、サブスクリプションベースのサービスや、パッケージ購入などが挙げられます。

記事前半で紹介したToyotaディーラーの戦略を再度例にあげると、一度新車を買ってもらって終わりではなく、購入後は、ロードサイドサービスやメインテナンスサービスなど、会員制サブスク形式のメンバーシップを提供し、顧客との継続的なビジネスを測っていました。

このように、持続性のあるオファーをバックエンドに持っておくことも大切です。

円滑なコミュニケーションでバックエンドへ誘導

フロントエンドから、バックエンドへ顧客を誘導する際、お得な内容でフロントに流した顧客を、いきなり高額なバックエンドへつなげるのが難しいと言う悩みをよく聞きます。

ここでの解決策は、顧客と円滑なコミュニケーションをとることです。

顧客視点からすると、フロントエンド戦略で釣られたなんて考えは1ミリもありませんから、似たようなサービスなのに、なぜ急に価格やオファー内容が高騰するのか?という疑問が湧くのは当然です。

だからこそ、初期段階からあらかじめ、フロントエンドを提供している理由と期待を伝えておくことが大切なのです。

例えば、無料のマッサージ体験を提供する場合だと、「初回サービスを無料でご体験いただくことで、私たちがどれだけ安全で確実なサービスの提供を行っているかを体験して頂きたいと思います。そうすることで、次回からご安心して当店へご来店頂きサービスをお受けしていただけるという自信を、スタッフ一同持っているからです」と言う感じにです。

初めから、初回オファーが特別である事実と、ビジネス側の期待を明確にしておくことで、安価狙いでくる顧客のスクリーニングができますし、サービス価格の高騰に関して、後々クレームを受ける確率も低くなります。

ビジネスで大切なのは、常に顧客に対して誠実でいること、そして、誤解のない円滑なコミュニケーションを保つことです。

必要に応じてミドルエンドを設置する

また、どうしてもフロントエンドとバックエンドのギャップが大きすぎると言う場合は、導入オファーと、最終的に辿り着きたいバックエンドの中間に、もう1ステップ、ミドルエンド商品を追加することができます。

例えば、あなたが、切開を伴う大きなフェイスリフト手術をバックエンドと設定する美容整形外科医だったとします。

フロントエンドにボトックスという、5分ほどで終わりダウンタイムの短い1万円弱のシワ取り注射をと設定した場合、そこからいきなり全身麻酔を要する手術の予約にアップセルするのは難しいですよね。

このような場合の解決策として、ボトックスとフェイスリフトの間に、中間価格で、ボトックスよりは大きいがフェイスリフトよりはリスクの少ないサービスを提供します。

この場合だと、5万円から30万円ほどで購入できる、レーザーによる若返りリフトアップ施術や、切らずにできる糸リフトなどを持ってくることが可能です。

フロントエンド:ボトックス(1万円)
ミドルエンド:レーザーリフト(10万円)・切らない糸リフト(30万円)
バックエンド:フェイスリフト(100万円)

ミドルステップを踏み、徐々にコミットメントレベルをあげていくことで、最終的に将来、外科フェイスリフト手術に繋げることができる可能性は増えます。

分かりやすく説明するための極端な例ですが、コンセプトは伝わったかと思います。

最後に

フロントエンドとバックエンドを導入することで、集客から長期的な利益化までの全てのマーケティングフローをより効率的で効果的に進めることができるよになります。

読者の皆さんも、ぜひ自社ビジネスにフロントエンド戦略を取り入れ、更なるビジネス成長を達成して行ってください。

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「フロントエンド・バックエンドとは?【マーケティングのプロが解説】」への1件のフィードバック

  1. Normally I don’t learn article on blogs, but I would
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    and do it! Your writing style has been surprised me.

    Thanks, very nice article.

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